広島大学 カーボンニュートラル × スマートキャンパス 5.0 CARBON NEUTRAL × SMART CAMPUS 5.0

松村 幸彦
先進理工系科学研究科
機械工学プログラム
教授

教職員
教育
研究

低炭素化技術・エネルギーシステムを開発し社会実装する

高温高圧の水によるバイオマスの迅速な分解反応を研究し、多様なバイオマス資源の有効利用を可能にする

研究体制

バイオマスに関する研究開発は、バイオマスプロジェクト研究センター、エネルギー超高度利用研究拠点、東広島市との連携などを用いて実施している。これまでの実績としてはNEDOバイオマス高度利用研究開発、A-STEP事業、NEDO再生可能熱利用技術開発、NEDO地域システム実証事業、環境省地域循環共生圏などの枠組みを用いて開発を進めてきた。今回の宣言にあたっても、すでに進めている研究をキャンパス内での導入に向けて調整するとともに、東広島市の担当部署とも連携して、市内からのバイオマス資源の供給、市の事業の共同実施、市民への情報提供を幅広く行っていきたい。

特色

我々の研究室のバイオマス研究は特に高温高圧の水を用いた変換を得意とする。高温高圧の状態の水は、水蒸気と液体水の物性が近づき、十分に高温高圧にすると水の高い溶解性と水蒸気の高い反応性を併せ持った状態を実現することができる。ここにバイオマスをおくと、迅速に分解反応が進行する。水の中での反応なので、通常は燃焼利用できない含水系バイオマスも有効に利用することができる。さらに、同様の原理をメタノールに当てはめると、メタノールと廃食用油を反応させて得られるバイオディーゼルの生成を迅速に行うこともできる。さらに、バイオマスのシステムを広く見てきた実績を生かし、今後のバイオマス利用の方向性を踏まえた研究開発を推進している。

意気込み

本宣言は、日本でも初の宣言であり、広島大学の世界トップを目指した活動の具体的な一側面でもあるので、必ず成功させる必要がある。すでに8つのプロジェクトについて検討を開始しており、東広島市の環境先進都市ビジョンの担当者、バイオマス産業都市構想の担当者とも連絡を取って可能性の検討を始めている。単に学問的な技術開発にとどまらず、経済性、環境影響、市民参加を同時に考えた全体的な枠組みとして情報発信を積極的に行いながら進めていきたい。バイオマスプロジェクト研究センター、中国地域バイオマス利用研究会、エネルギー超高度利用研究拠点の各組織の全面的な協力も得られる準備はできている。

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